《独占インタビュー》映画『不思議の国の数学者』パク・ドンフン監督、「大変なことがある時、あまりにも早くあきらめないで勇気を出して可能性を探して」

4月28日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー中の映画「不思議の国の数学者」。パク・ドンフン監督のインタビューをお届けします。


<STORY>

学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者ハクソン。彼は自分の正体を隠したまま、上位1%の英才が集まる名門私立高校の夜間警備員として生きている。冷たく不愛想なため学生たちから避けられているハクソンはある日、数学が苦手なジウに数学を教えてほしいとせがまれる。正解だけをよしとする世の中でさまよっていたジウに問題を解く「過程」の大切さを教える中で、ハクソンは予期せぬ人生の転換点を迎えることとなる。



◆出演者の年代ギャップなどから生まれたケミストリーなど、撮影現場でのエピソードをお聞かせください。

パク・ドンフン:撮影現場がとても楽しかったです。特に科学館B103セットの撮影時、チェ·ミンシクさんと共にキム·ドンフィさん、チョ·ユンソさんが楽しい冒険をしているような感じを受けました。彼らのアイデアが中心となってシナリオとは違う場面が撮影されたシーンもあります。

パク・ドンフン:『オールド・ボーイ』のイ·ウジンのセリフ(何度も間違った質問ばかりするから正しい答えが出るはずがないじゃん)と似たセリフをチェ·ミンシクさん(間違った質問では正しい答えが出ないからだよ)が演じているのを見る時、微笑ましい気持ちになりました。


◆監督は、俳優に細かく演技指導するタイプですか?俳優にまかせるタイプですか?

パク・ドンフン:作品によって異なりますが、本作では俳優に頼るやり方でした。ただし、プレプロダクション期間中に俳優たちと何度もミーティングをしながら、テーマやシーンの中でキャラクターが意図するものは何なのかについてたくさんの話を交わし、それを表現するための必要な演技的要素を俳優たちと共有しました。


◆日常で数学のおもしろさを感じることはありますか?

パク・ドンフン:流麗な建築物を見る時、この建物の中にはどんな数学的原理が作動しているだろうか?とか、 直線と曲線などを支える計算がセメントの間にどれだけ多く入っているだろうか?とか。そして音楽を聴く時、新しい楽器が漸進的に登場し、強烈で大きな調和を成す時、妙に「演算」、「算出」、「昇順」などの数学用語が浮び上がったりもします。


◆監督がこの作品を通して伝えたかったことは?

パク・ドンフン:大変なことがある時、あまりにも早くあきらめないで勇気を出して可能性を探してみる時間を持つことはとても良いことです。 これを静かに言いたかったのです。


◆本物の「天才」とはどういう人なんでしょう?

パク・ドンフン: 難しい質問ですが、普通の人より圧倒的に多い場合の数を考えることができる人たちだと思います。


◆好きな日本映画の監督や作品はありますか?

パク・ドンフン:小津安二郎は私の最も重要な映画先生の 1 人です。『不思議な国の数学者』を見ると、物と空間が中心になるいくつかのカットがあります、小津安二郎の影響を受けたと自分でも「推測」しています。

90 年代末、北野武の映画に夢中でした。『ソナチネ』と『花火』の衝撃はすごかったです。

余談ですが80年代後半は日本のバンドThe Checkersに熱狂しました。「I Love You Sayonara」は名曲ですよね。


◆日本の映画ファンへメッセージをお願いします。

パク・ドンフン:『不思議の国の数学者』は性別や年齢を問わず、誰もが愉快な温もりを感じることができる映画です。この温かさを劇場で感じてほしいです。


(text:Kiyori Matsumoto)



監督|パク・ドンフン

短編映画 『 War Movie 』で第5回大韓民国映画大賞短編映画部門最優秀賞、『Enlightenment Film』で第54回アジア太平洋映画祭脚本賞を受賞。本作で初の長編映画に挑戦。 本作を「愉快なエネルギーと活力に満ちた映画。イ・ハクソンを通じて人生の可能性を描く物語」と紹介し、数学は難しくて堅苦しいものではなく、私たちの日常にある身近な 存在だということを見せたいと語った。イ・ハクソンの数学の個別指導で学べることは、単純な数学の知識ではない。問題を解きながら2人は、自分の生きる方向性、一歩踏み出 す希望と勇気をお互いから学ぶ。そしてとにかく「努力すればいい」という漠然とした メッセージではなく、大変で諦めたくなったときほど、周りに目を向ければ光を見い出す ことができるのだという励ましをこの映画では伝えている。


「不思議の国の数学者」

監督:パク・ドンフン 

出演:チェ・ミンシク、キム・ドンフィ、パク・ビョンウン、パク・ヘジュン、チョ・ユンソ

2022年/韓国/117分/シネマスコープ/DCP5.1ch/日本語字幕:朴澤 蓉子/原題:이상한 나라의 수학자/英題:IN OUR PRIME  

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配給:クロックワークス klockworx-asia.com/fushigi/

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